法雨抄

見えない顔2015年05月01日

 「各人がそれぞれ自己自身に最も遠い者である」
とはドイツの哲学者ニーチェの格言で、この世で、最も見えにくいのは自分自身であるということです。
 だから自分が本当は何も知らないと言う事を知っている人が、一番賢いということにもなる。私の看板であるこの顔、それをよりによって自分だけが見られないことの恐ろしさに心が凍りつく。
とは鷲田清一氏が「折々のことば」(朝日新聞)でのべているところです。
 私たちは自分の顔を見ることはおろかどうすることも出来ないのです。写真や鏡の顔は映像であって真の顔ではありません。その顔をコントロールできるのは心だけです。
 日蓮大聖人神国王御書に曰く
 銅鏡等は人の形(すがた)を浮ぶれども未だ心をばうかべず。法華経は・・・心をも浮かべたまえり。

平成27年5月1日 見えない顔

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