葦の髄から覗く2003年12月01日
医学ジャーナリストの丸山寛之氏は「はしと関節炎」と題した、『健康歳時記』欄(長崎新聞)の中で朝日新聞の記事を紹介して曰く、
米国ボストン大学の研究グループは、無作為に選ばれた六十歳の北京市民二千五百六人から、利き腕とはしを使う手を聞き取った上で、腕と指の関節をエックス線撮影。はしの使い方が関節に与える影響についてしらべた。
そして、はしを使う手の特に親指、人さし指、中指の第二、第三関節が関節炎にかかりやすくなる。それは「指の使い過ぎで関節部分に圧力がかかり、炎症を起こしやすいためだ」と結論付けた。
これに対し、中国の華西医科大学の王曾礼教授は「関節炎が、はしの使い過ぎによるものか、他の要因か、分からない」。成都中医大学副校長の羅才貴教授も「はしの使用程度は、関節炎を起こすほどの圧力ではない」と反論している、と。
丸山さんはこれにコメントして、
この中国側の反論、全面的に正しいと思う。はしは関節炎の原因ではなくて、関節炎を起こしたのが、はしを使う手だったと言うだけだろう、ボストン大グループは、因果関係を取り違えたのだろう、と。
いろはカルタに、「葦の髄から天井覗く」というのがありますが、独りよがりの見方で全体を判断することは危険です。然し、最近の世相では、自分がそうだから、皆もそうだという結論に持ってゆくようなところが多々あるやに思えてなりません。
信仰の世界でも、葦の髄から覗いたような信仰をたてにして、他を異端者する傾向が随所に見られるのではないでしょうか。そうではなく、真の信仰は道理にかない、自他調和の世界でなければなりません。
日蓮上人にはそれが法華経でした。曰く
法華経は自行化他の二行を開会して不足なきが故に、鳥の二翼を以て飛ぶに障り無きが如く成仏滞りなし。
(三世諸仏総勘文教相廃立)
平成15年12月1日