法雨抄

強さと美しさ2003年05月01日

 スポーツの勝敗を決するもの、それは「精神力」だ。むろん技術も大切だが、不屈の精神力と磨き抜かれた技術が両輪となってその選手の力をひきあげる。
 今、日本で最も「精神力」を持つ選手はと言うと、マラソンの高橋尚子と卓球の福原愛が思い浮かぶ。
-中略-
 その闘志に圧倒されるのが、「愛ちゃん」こと卓球の福原愛選手(14歳)だ。
 先日、TVで幼い頃からの映像がまとめて放映されていたが、幼少時に、母親の指導で卓球を練習しながら泣きじゃくる彼女が、意外なことを言っているのに気がついた。それまで、猛練習がつらいために泣いているものだと錯覚していたのだが、ビデオの中で彼女は「(練習を)止めないで」と訴えながら泣いていたのだ。
 これは、幼いながら本当に凄い精神力だ。「練習を止めないで」と泣く彼女の姿は、昨今の日本人に失われた本物の「根性」を見る思いがする。
-そして最後に-
 練習に次ぐ練習で、極限を超えた福原選手の表情は、最近の日本人にはない「強さ」と「美しさ」を持つ。
 (シグネチャー、桐山秀樹「卓球『愛ちゃん』の強さとうつくしさ」)
 日本の芸術作品の「美しさ」はみな極限まで鍛え上げ、磨き上げられて醸し出された美しさではないでしょうか。今は簡単に機械で研磨されてゆくが、そこには人間の魂の輝きがみられません。
 宮本武蔵は何であんなに修行にこだわったのでしょうか。彼は自分の魂の極限の姿を追い求めたのではなかったでしょうか。
 日蓮上人は法華経の中に自己の極限の輝きを求めて難行苦行、命を引き換えにして南無妙法蓮華経に到達されたのです。
 日蓮上人佐渡御書に曰く
 雪山童子(せっせんどうじ)の身をなげし、楽法梵志(ぎょうぼうぼんじ)の身の皮をはぎし、身命に過ぎたる惜しきものなければ、これを布施として仏法を習えば必ず仏となる。


平成15年5月1日 「強さと美しさ」

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