法雨抄

四十億年の人類の歴史1998年02月01日

S週刊誌の「小宮悦子のおしゃべりな時間」で、JT生命誌研究館副館長の中村桂子さんのこんな言葉が目につきました。
小学校へ上がる前までは、生き物として40億年間かけてもってきたものをちゃんと生かせるように育てる時期だと思うんです。
家族や友達、植物だとか虫だとか他の生き物と上手に接することを学ばなければいけない。
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「地球にやさしい」というのも、ちょっとおごっている感じでしょう。地球は、人間にやさしいくしてもらわなくてもへっちゃらなんです。
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やっばり一生懸命生きないと、どんな生き物もみんなそれぞれ必死でやっているわけだから、自然界では仲良しごっこでは通用しないんです。
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自然と接するというと、どこか山の中へ出掛けなければ、と思う方が多いんですけど、人間だって生き物なんですから、お父さん、お母さんと子供とが上手に接する、それも大事なことなんです。東京だって公園に行けば、木はいっぱいありますしね、と。
「地球環境の危機」は今一番大きな問題で、環境を守ろうとか、環境を保護しようと叫ばれていますが、そんなのは人間の想い上がりです。もともと私たちは環境に育てられ、地球に育まれ、40億年の人類の歴史をそこに刻んで、今日生かされているのです。そして私たちがこれからも生きて行くにはその謙虚な心を取り戻し、自分を見つめ直し、お父さん、お母さんと子供が上手に接して行く家族の思いやり、そして周囲の生き物へのいたわり、といったような、人間本来の素直な心で私たちの足下を見つめ直すことから初めなくてはならないということではないでしょうか。
日蓮聖人窪尼御前御返事に曰く
「一切の善根の中には孝養父母第一にて候なれば」

(平成10年2月1日)

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