法雨抄

足るを知る2018年12月03日

 大きな店の軒先を借りて、小さな店を始めたとき、

小さなラジオが売れて一万円の代金を落とさないようにしっかりと抱いて帰った頃を思い出すと、

今でも何か身の引き締まる思いがすると、述懐じゅっかいする経営者がいるかと思うと、

五百億円もの給与所得のごまかしで、税金逃れをして贅沢三昧の経営者もいる。

その昔、主人のあくなき金銭欲に嫌気けんきを起こした紀伊国屋また衛門は

 落ちていく奈落ならくの底をのぞき見ん

 いかほど欲の深き穴ぞと

の一首を残し、善智房と名を改めると、

主家を去って托鉢たくはつの行にはいったという。

 改めて「るを知る」ことの大切さを思うや切であります。

 日蓮大聖人弥源太殿御返事に曰く

 銭というものは用にしたがいて変ずるなり。

平成30年12月1日 第729号「足るを知る」

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