法雨抄

万理一空2011年10月01日

 琴奨菊が大関に昇進しました。福岡だけでなく、九州にとっても誠にお目出度いことです。
 琴奨菊は協会の使者にたいして、
 「謹んでお受けいたします。大関の地位を汚さぬよう、万理一空(ばんりいっくう)の境地を求めて日々努力精進(しょうじん)いたします」
と口上を述べました。「万理一空」も九州ゆかりの宮本武蔵の言葉で、諸々(もろもろ)の事象(じしょう)は因縁(いんねん)によって生じたもので、総て空で固定的実体はないのだからとらわれてはならない、と言う、剣の極意をあらわした言葉ですが、琴奨菊は「一空」を心を空にして相撲一筋にと読んで、自分の精進の目標としたようです。
 立派な大関として、相撲道に精進してもらいたいと思います。
 日蓮上人四条金吾殿御返事に曰く
 受(う)くるはやすく持(たも)つはかたし。さるあいだ成仏(じょうぶつ)(目標達成)は持つにあり。


平成23年10月1日 万理一空

法雨抄一覧へ戻る