法雨抄

地上に平和を2007年10月01日

 ミャンマーで大変な事が起こりました。十八年前に軍事政権は古くから慣れ親しんだビルマをミャンマーと改め、昔の首都ラングーンもヤンゴンと変え、首都はネビドーという所に移されているんだそうです。でも古くから「仏教国ビルマ」といわれてきたように、国民の九割は仏教徒です。そうした国民の尊敬を受け、政治的な事には関与しないはずの僧侶たちが立ち上がり、お経を唱えながら整然とデモを実行したのです。そして大勢の市民は僧侶たちを守るようにその左右に随伴しました。ところがその市民のデモに対して軍事政権は無差別に発砲したのです。そしてそのデモの様子を取材していた長井カメラマンが撃たれたのです。最初は流れ弾に当ったという発表でしたが、映像をみれば、至近距離からの射殺だったということのようです。
 それと同時に寺院も襲撃され、破壊され、無抵抗な数百人の僧侶が殴られ、蹴られて拘束されたということです。今時、政権者が国民に銃を向ける国があったのですね。しかもそれが私たちの身近なアジアにです。悲しいというか、情けないことです。一刻も早い解決を祈らずにはおれません。
 しかし、中近東の紛争をはじめとして、未だに世界には紛争の種がつきません。
 ノーベル賞の湯川博士は「物質の原子力に比例した、精神の革命がともなわなければ、人類は救われない」という趣旨の事をおっしゃっていたということですが、相変わらずの物質の原子力に固執している国々のあることを思えば、この地上に平和はあり得ないのでしょうか。
 日蓮聖人は一人の私が信仰で救われたとしても、その信仰の功徳をもって周囲を潤し、皆で手を取り合って幸せに成るように祈らなくては、その人の真の幸せ(成仏)はありえないともおっしゃっています。
 日蓮聖人 立正安国論に曰く
 汝すべからず一身の安堵を思わば、先ず四表の静謐(せいひつ)を祈るべきものか。

平成19年10月1日 「地上に平和を」

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