法雨抄

私に任せなさい2005年04月01日

 大手電機メーカーのシステム部長のT氏は社内のシステムを更改する仕事を、以前から付き合いのあったソフトウエア会社のN氏に相談した。
 一度は、納期までには仕上げられないと断られたが、「無理は承知の上でお願いしたい。御社だけが頼りだ」とT氏はN氏に泣きついて何とか引き受けてもらった。
 ところが、システムが納入されるとエラーが続出。よく考えると、原因はT氏の指示ミスによるものだったが、T氏は本能的にN氏に怒鳴った。
 「話が違うじゃないですか」
と、N氏は反論してくるだろうと思った瞬間、こう言った。
 「このたびの不手際、まことに申し訳ありません。システムの修正に最善を尽くします。この二週間、二十四時間あなたからの電話を優先して動きます。そのかわり二週間経って直らなければ、この取引は中止にさせてください」
と。T氏としては「それではお願いします」言うほかなかったと言います。
 「あなたからの電話を優先して動きます」とはすばらしい対応です。しかも「二週間」に区切ったことは、任せておきなさい、と相手に安心感を与えた、とコメントがついていました。(プレジデント)
 お経を拝見しますと、仏様はいつも「あなたからの連絡を待っていますよ、私にまかせなさい」と私たちに呼びかけていらっしゃるのではないでしょうか。そして修行に励んでいる弟子たちに対しても、幾ら、幾らすると仏になれるよと佛名を授けていらっしゃるのに出くわします。それは気の遠くなるような未来かもしれませんが、はっきりそこに目標が示されていることによって、励みも出てこようというものです。
 日蓮上人波木井三郎殿御返事に曰く
 提婆達多は・・・一代の聖教に捨て置かれしかども、この経にあい奉りて天王如来の記別を受く・・・この経の信不信に任すべし。

平成17年4月1日 「私に任せなさい」

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