法雨抄

ご恩返し2002年06月01日

 世界最大のスポーツ行事、サッカーワールドカップが開幕しました。開催国の日本、韓国を始め32チームが参加し、4チームずつ8組に分かれて一次リーグ戦を行い、各組上位2チームが決勝トーナメントにすすみ、6月30日横浜国際綜合競技場で世界一がきまります。
 共同開催国である我が国としては、サッカーを楽しむ際に、是非蹴鞠の歴史も知って欲しいと言う事で、ワールドカップの開催他の一つ、埼玉県の県立博物館で、特別展「蹴鞠-KEMARI」が今月末まで催
されているということです。
 明治時代に伝来のサッカーも一時、競鞠と呼ばれていたと言います。
 さて、開会式直後の開幕戦はフランス対セネガルの一戦でしたが、前回大会優勝のフランスが初出場のセネガルに。0-1で敗れてしまいました。「王者が負けた」と新聞の見出しは大きく踊っていました。
 読売新聞の「編集手帳」子は
 徒然草の、高名な木のぼりの話しにも蹴鞠がでてくる。高い木に登って、最も注意すべきは降りる時だ。だいぶ下に降りてきて、もう大丈夫と思ったときに事故は起こる。「鞠も、難き所を蹴出してのち、やすく思えば、必ず落つと侍るやらん」
 難しい鞠をうまく処理して、ほっと安心した時に、失敗する。これはサッカーでも同じだ。どんな強豪チームにも必ずスキがある、と。
 フランスにスキがあったと言う事ではないてしょうが、主力のほとんどがフランスリーグでプレイしていると言うセネガルは、そこで身に付けた俊敏な身のこなし、細かい足技、着実な守備力と言うものを信じて、「失うものは何もない」と虚心に、思う存分闘って勝ったのです。相撲で言う「御恩返し」をしたということではなかったでしょうか。

 日蓮上人は真言諸宗違目に曰く
 必ず心の固きによって神の守り即ち強し

平成14年6月1日 「ご恩返し」

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