小泉八雲の予言2001年04月01日
日本の生活と文化を世界に紹介したイギリス人で、日本に帰化して小泉八雲と名乗ったラフカディオ・ハーンは
「日本人は・・・気持ちのいい礼儀正しさ、優美で繊細な習慣、敏感な機転と並んで、あらゆる状況下で性格の一番勝れた一番明るい側面だけを表に出す不思議な力がある」
と、日本人を評価して、常に日本の良き理解者でしたが、明治二十八年、友人に宛てた手紙の中で、
「次世代の日本人は、親切で、寛大で、他人思いではなくなると思います。日本人はより知的にはなっても、道徳的ではなくなるでしょう。というのも、古き日本は物質的にははるかに欧米に後れていても、それと同じくらい無私という点で、はるかに欧米より勝っていたのですから」
と述べていたということです。(太田典生著「小さな感動」のおすそわけ より)
残念ながらラフカディオ・ハーンの予言は今日まさしく現実になっています。
彼の予言がちょうど日清戦争の勝利に酔っていた時期であったことを思えば、戦勝によって驕りが出ていた日本を見抜いていたのかもしれません。
富国強兵策が昴じて、自信過剰で第二次世界大戦へ突入、そして敗戦で自信を喪失、敗戦後は懸命に復興に努力して、漸く自信を回復したかのように見えたのが、余りにも突出した経済的な豊かさに酔い、金、金、金とやっている内に、人間の自我や煩悩ばかりが盛んになり、古き良き時代の素直な心が無くなってしまったというのが、今日の姿ではないでしょうか。
これからの日本を立ち直らせるには、人間には金よりももっと尊いものがあることを思いださせることです。
日蓮上人 持妙法華問答抄 に曰く
慢のはたほこを倒し、怒りの杖を捨てて、偏に一乗に帰すべし。名聞名利は今生のかざり我慢偏執は後生のほだしなり。
平成13年4月1日「小泉八雲の予言」