法雨抄

良質なエネルギーを1999年01月01日

今年が佳い年でありますよう
    お祈り申しあげます

いつか新聞で埼玉県入間市の宮入清次郎さんの川柳の入選句に
「先祖の血みんな集めて子は生まれ」
というのを見て、なかなかいいところを突いていると思いました。仏教では、人間が死にますと肉体も心も無くなってしまうと考えます。しかし全部なくなってしまうのかといえばそうではなくて、行為があとに残る。血のつながりと一緒に行為もついてくるわけです。もちろん、ご先祖といっても立派なご先祖ばかりとは限らないわけで今の私には、ご先祖の良い行為も悪い行為もすべて集まってあるわけです。ですから良い面は感謝して、悪い面は品種改良をするように自分の業や品性を改めて子孫に伝えていく。そういう考え方を持てば、過去に光りを与えることができるし、未来も大きく展開します。云々
これは、プレジデントの正月号の松原泰道師と石原慎太郎氏の特別対談の中で松原泰道師が言った言葉です。
本当に現在の私が生きていると言うことは、先祖の血の繋がりと行為(行為の結果のエネルギー)の相乗の上に生きていると言うことであります。いや、「生かされている」と言うべきでしょう。それならば、その命を大事にし、その血の繋がりにより良いエネルギーを放流することが先祖に対する報恩であり、子孫に対する功徳となるということではないでしょうか。
そして、私たち一人一人の地道な精進は社会にもまた大きな希望をつなぐことになるはずです。皆が良質なエネルギー(行為)を醸成し、此れを社会のためにも放流することが今一番求められているのではないでしょうか。
日蓮上人が「日蓮によりて日本国の有無はあるべし」と仰せられた気概をもって。

(平成11年1月1日)

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