法雨抄

ある ある ある1997年08月03日

さわやかな
秋の朝

「タオルとってちょうだい」
「おーい」と答える
良人(おっと)がある
「はーい」という
娘がおる

歯をみがく
義歯(いれば)の取り外し
かおを洗う
短いけれど
指のない
まるい
つよい手が
何でもしてくれる

断端(だんだん)に骨のない
やわらかい腕もある
何でもしてくれる
短い手もある

ある ある ある
みんなある
さわやかな
秋の朝

これは、両手両足切断という重い障害を抱えながらも、人生をたくましく生き抜いた中村久子さんの晩年の詩です。
私たちは今日物の豊かな時代に、何でもある時代に生きていながら、何時も金がない、時間がない、余裕がない、とないない尽しをかこっていないでしょうか。ないない尽しからは何も生まれません。絶対肯定の生き方が中村久子さんに希望を与え、喜びを与えたのではなかったでしょうか。
私たちの法華経は絶対肯定の教えです。
今本時の娑婆世界は三災を離れ、四劫を出でたる常住の浄土なり

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