法雨抄

銭というものは2006年06月01日

 オランダは小さな国だけど、昔からオランダは長崎とは親戚みたいなもので、あの交易から上がる収入はべらぼうだったんです。それで金銭感覚が狂いまして、非常に豪勢なことをやっているうちに、気がついたらオランダは破産国になっていました。
 そこから抜け出るときに、国王も女王も総理も偉かった。給料50%カット、その代わり労働条件も50%カット、1週間80時間のところを40時間にした。そうすると労働が半分になり、物を生み出すもとの土地が残ります。そこでオランダ人は考えました。土地とあまった時間を総力を挙げて開発していこうじゃないかということで、チューリップを作ったのです。そして、其れを改良して外国に負けないようなチューリップを世界中に売ったんです。
 こうしてオランダは小国ですが、かなりの豊かな金持ちの国家に復元することができたんです。(中央大学名誉教授小堀憲助先生講演より)
 これを要するに、貧乏になったからといって、或は金持ちになったからといって、お金によって、私たちは健全な人間が持っているものを失ってはいけないということでしょうか。
 私たちが何か事業をして、儲けというか、一定の成果を上げることは大変なことですが、そのために儲けだけに集中し、正常な金銭感覚を麻痺させるようなことがあってはならないということでしょう。
 オランダのチューリップは国を富ますために外貨を獲得しようということだけではなく、外国に負けないようなチューリップを作ろうというプラス・アルファーがもたらした成果だったのではないでしょうか。
 オランダの例にもあるように、金銭には一国をも滅ぼし、また一国をも繁栄させるプラス・アルファーがあります。
 日蓮聖人は弥源太殿御返事に曰く
 「ぜにというものは用にしたがって変するなり」

平成18年6月1日 「銭というものは」

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