法雨抄

自助努力2006年04月01日

 小嶺忠敏監督といったら、少しでもサッカーに関心のある人なら誰でも知っている名前ですが、この三月で国見高校長を退職されました。国見高校サッカー部の監督に就任された頃
 「サッカーで日本一のチームをつくる」
と宣言したら、
 「馬鹿か、お前は、こげんとこで日本一になれるもんか」
と笑われたということですが、負けても負けてもチャレンジし続けて二十年、ついにその悲願を達成されたのでした。そして小さな町の高校の名前がいまや日本中に知れわたって、サッカー留学生がやってくるようになったのです。その卒業生の中には社会人サッカーチームで活躍している者が何人もいます。
 その小嶺校長最後の終業式で在校生に送った言葉が
 「志を立て、耐えて励まん」
 「情熱を持て」
 「人生は自分が動くことで道が開ける」
と言う三つの言葉だったと言うことですが、小嶺校長のサッカー人生から出た言葉であることに大きな説得力があります。
(長崎新聞「水や空」より)
 志を立て、日本一の夢を追ってその情熱を持ち続けることも希有なことといえるかもしれませんが、小嶺監督は選手たちを自分の家に置いて生活をともにして面倒をみたばかりでなく、乏しい運動部の予算を助けるために、自費でマイクロバスを求め、運転を習って、公式試合や練習試合には自らマクロバスを運転して臨んだということです。二十四時間そうやって小嶺監督は自らの道を切り開いていったのでした。
 天は自ら助けるものを助く
と言う言葉がありますが、自助努力なくして天の助けはありえません。
 日蓮上人富木殿御書に曰く
 わが門家は夜は寝むりを絶ち、昼は暇を止めてこれを案ぜよ。

平成18年4月1日 「自助努力」

法雨抄一覧へ戻る