法雨抄

荒川選手の優勝2006年03月01日

 荒川選手がやってくれました。見事な演技でした。何度見ても感動するばかりです。専門家が見ると小さなミスはあったようですが、冷静な判断でそれを転換し見事に舞い納めたということのようでした。
 幼い頃天才少女とうたわれた彼女でしたが、何度か挫折を味わいながら、それを乗り越えて成長していった彼女の、血のにじむような努力を知れば、今日の栄光がなおいっそう輝かしく思われます。
 そんな彼女のことを知っても知らなくても、彼女の金メダルはどんなに多くの人に感動と勇気を与えたことでしょう。
 努力をすれば必ず報いられる、倒れても、たおれても立ち上がれば必ず光があたる。彼女の栄光は彼女の栄光だけでなく、日本人の、いや世界中の人々の栄光だったのです。
 今日、多数決の原理で、一人の力が軽視され、一人ではどうにもならないという風に言われますが、磨かれた一人の力は何万、何千の人にも大きなエネルギーを与えることが今度の荒川選手の優勝でも証明されました。
 同様に、磨かれた人格は五体を通して周囲にその光をなげかけていくものです。たった一人というかもしれないが、一人であるが故に万人に対応できるのです。お釈迦様しかり、キリストしかりです。
 お釈迦様の教えは三千年の時代を超えて今なお多くの人々をうるおし、多くの人々に光をあたえているではありませんか。
 日蓮上人がお題目を唱え始められたときもたった一人でした。しかし、それが真実であり、真理であるが故に、人々の信頼を得て弘まっていったのです。
 妙密上人御消息に曰く。
 日本国の中にただ一人南無妙法蓮華経と唱えたり。これ須弥山の始めの一塵、大海の始めの一露なり。二人、三人、十人、百人、一国、二国、六十六箇国、已に島二つにも及びぬらん。

平成18年3月1日 「荒川選手の優勝」

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