法雨抄

神様の思し召し2002年05月01日

 京セラの名誉会長でKDDI最高顧問の稲盛和夫さんは福島敦子キャスターとの対談の中で
 「成功した人は逆境を跳ね飛ばして努力をするから成功するんでしょうけど、大切なのは幸運に恵まれた時に元々の自分を忘れないことです。人間とはいい時には有頂天になってしまう。そうじゃなしに、成功しても、それを自分の実力ではなくて、神様が一時的に自分にそうさせてくれただけだと思って、貧しい時と変わらない生活態度で努力する。『おごる平家は久しからず』ということはみんな耳にタコが出来るくらい聞いているはずなのに、人間というのは変わらないんですよね。」
と、そして上ずった気持ちのコントロールは宗教だったそうで、小学校に上がる前、夜提灯をつけて、父親に手をひかれて田舎の山奥の電気の付いていない所で、ローソクの明かりだけの仏壇の前で手を合わせ「なんまんなんまんありがとう」と祈ったのが強烈な体験として残っていると言い、不安で何か求める時はどうしても宗教の本に手がのびた、と振り返っています。(サンデー毎日)
 この敬虔な祈りがあり、神様がそうさせて下さったという謙虚な姿勢があったればこそ、畑違いと言われた通信事業にも手を染めて成功を収める事が出来たのではないでしょうか。通新事業への関与は「自由化によって競争原理を導入して闘う企業が出来れば、電話料金は安くなるだろう」と、皆の為にと言う気持ちが、神様のお眼鏡にかなったと言うことでしょうか。
 企業はもとより、あらゆる行動が実は神様の思し召しでやらされていると謙虚にとらえれば、私たちはそれぞれ世の為人の為大事な役割を担っていると言う事に気付くのではないでしょうか。

 日蓮上人は四條金吾殿御返事に曰く
 「お宮仕え(みやづかえ)を法華経とおぼしめせ」

平成14年5月1日 「神様の思し召し」

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