法雨抄

こだわりを持とう2000年11月01日

 こんなにもうまくゆくものでしょうか。
本年の野球界は、プロ野球日本シリーズがファンの待望した長島と王の対戦と言う組み合わせになって、結果は長島の巨人が勝って日本一となり、六大学は早慶戦で慶応が勝ってリーグ優勝が決まりました。
 巨人の松井は日本シリーズでMVPに輝いたが、シーズンを通じても本塁打王、打点王の二冠をものにし、更にシーズンMVPにも選ばれました。
 小指をグリップに掛ける打法を考えるなど、彼の四番打者としての打撃へのこだわりが今シーズンの好成績に繋がったと言うことで、彼はこう言っています。
 「昨年のオフから四番を打とうと自分にプレッシャーをかけて臨んだ。その心の準備があったから、出来たと思う」
 この「こだわり」とか「プレッシャー」と言うのは自分の心の甘えに対するブレーキとでもいいましょうか、自分の心に対する励ましだと思います。
 誰でも、何かことに当たって決心はするものの、我々凡人の決心は直ぐ目先の安逸にたぶらかされて腑抜けになってしまいがちです。その決心を年間を通じて持続できた所に松井の栄誉があったのではないでしょうか。
 又、新打法によって打率、打点も向上し自己最高を記録しているので、打率に就いても満足している、とは言いながら、
 「二冠は取れているのだから、もう一つを貪欲にめざしたい」
 と、さらに意欲を掻き立てているということです。好漢二十六歳、まだまだ理想を追い続けてもらいたいものです。
 私たちの信仰も彼に見習って更に上を目指して精進したいと思います。

 日蓮上人松野殿御返事に曰く
 菩提心をおこす人は多けれども、退せずして実の道に入る者は少なし。すべて凡夫の菩提心は多く、悪縁にたぼらかされ、事にふれて移りやすきものなり。

平成12年11月1日 「こだわりを持とう」

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