法雨抄

自分を信じよう2000年06月01日

 十六・七歳の少年による余りにも悲しい犯罪が多発しており、どうしたら良いか方途に迷うばかりですが、先達ての朝日新聞の「声 若い世代」のページに熊本県本渡市の十六歳の高校生N子さんの「努力の源泉は強く思うこと」と言う一文を披見して、こんな若い人たちも居るんだと言うことにほっとした思いです。
 友人が読んだ本の中に「人は強く思っていることは実現につながり、実現にいつまでも不安を抱いている人はそのまま終る」と言う記事のあった事を聞いて、彼女も思いました。「ろくに努力もしないで得た成功は、後でむなしさに襲われてくると思う。ただ思うだけでは実現しないのは確かだ。強く思うことが努力に繋がっていく。つまり自分を信じることが大切だと言うことだろう」と。友人が「自分くらいは自分を信じていないと、何も出来ないかもね」と言ったことに同感して、こう結んでいます。
 「思うだけではうまく行かない、それが人生だとも思う。そんな挫折の繰り返しの中で、自分を信じられるか否かで、前に進めるかが変わってくると思う。信じることが出来ないから、最近の矛盾にあふれた犯罪が生まれてくると思う」と。
 彼女が言う通り、自分が信じられないものに何ができましょうか。
 お釈迦様も「みずからをより所として、他人をより所とすることなかれ」と説かれています。然し、お釈迦様はこの言葉につづいて、「法をより所として、他をより所とすることなかれ」とも説かれています。
 だから其の自分を、常に正しい教え(法)によってコントロールし、磨いて行くことが大事だと思うのです。
 この世はままならぬものですが、だからこそ自分を磨く術はいくらでも私たちの周囲に転がっています。其の中で常に人格の形成と実力の涵養を心がけ、周囲の人々と共に切磋琢磨して行く人の上にこそ、成功はあるのではないでしょうか。日蓮上人曰

「只南無妙法蓮華経と唱えたてまつるを是をみがくとはいうなり」(一生成仏抄)と。

平成12年6月1日 「自分を信じよう」

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