法雨抄

当年四歳です2000年01月01日

今年が佳い年でありますよう
    お祈り申しあげます

 お釈迦様と同じ日に生まれたといわれ、その教えに深く帰依したハシノク王が或る日狩りに出た途中で白髪の老翁に出会いました。王が、
「あなたは今年幾歳になりますか?」
と、尋ねると、老翁は
「はい、当年四歳になります」
と、答えました。
「四歳、そんなばかな・・・・」
 王は老翁から馬鹿にされていると思い、少し気色ばんで、
「ただの四歳と言うわけはあるまい、人を馬鹿にするのもいいかげんにしなさい」
と、言いますと、老翁は
「いえ、ただの四歳でございます。
今まで自分のしてきた事をよくよく振り返って考えてみますと、本当に正味四年位の功しかございません。で、私はまだ四歳の赤子のつもりでいるのでございます」
 と、王に会釈して歩みさりました。
 ハシノク王はこれを聞くと、
「なるほど、なるほど良い教えだ!」
と、深くうなづいたと申します。
 誰でも、真面目に反省し、自分がやってきた事を振り返える時、自分は完全な大人だと断言できる人が何人いるでしょうか。
 今年は西暦紀元の2000年です。何か新しい良い事がありそうな期待に胸を躍らせている人もあるでしょう。然し、1900年代を振り返る時、人類はその責めを償わなければならないような事が山とあるのではないでしょうか。
 その反省の上に立ってこそ、初めて希望の2000年を歩み出すことが出来るのではないでしょうか。
 日蓮上人 四条抄に曰く
 教主釈尊の出世の本懐は人の振舞いにて候いけるぞ

平成12年1月1日 「当年四歳です」

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